概要
- Bobcat
- Jaguar
- Puma
- Puma+
は2011~2016年あたりにかけてのAMDのローエンド向けマイクロアーキテクチャ。それまでのK10(PhenomⅡなど)を置き換えるべく、ハイエンドCPU向けにはBulldozerが投入されたが、一方ローエンド向けにはこれらが新規に開発された。
まあIntel Atom(のBonnel, Silvermont, Goldmontマイクロアーキテクチャ)みたいな感じである。
これらの総称はないが、この記事では上の4つを全部Bobcat系と呼ぶ。基本的にBobcat以降の3つもBobcatをベースに改良されたものである。
Bobcat系の特徴
Bobcat系の同時命令実行数などはK6と同等とも言われ、従来に比べかなりの簡素化と機能削減がされている。またハイパースレッディングは搭載しない。
また基本的にAPUとして提供され、Radeonの搭載によりグラフィック性能についてはIntel Atomよりかなり高性能であった。
Bobcat
BobcatはBobcat系第一世代で、
- C-30/50/60/70(TDP9W)
- E-240/300/350/450(TDP18W)
- E1-1200/1500(TDP18W)
- E2-1800/2000(TDP18W)
などが発売された。当時省電力ながら非力だったAtomに対し、消費電力が同程度かつRADEO HD6000/7000を搭載してGPU性能もそこそこあったのでそれなりに人気だった。
Jaguar
デスクトップ
Jaguar世代がBobcat系の全盛期といえるだろう。
本来Bobcat系はオンボードで提供されるものだったが、ここに来てCPU単体で販売され、Socket AM1のAthron, Sempronが登場した。割と出回ったのはAthlon 5350(4コア、2.05GHz)だろうか。
モバイルなど
特に出回ったのはE1-2100(TDP9W)、A4-1200(TDP3.9W)だったように思われる。どちらも2コア1.0GHzだが、TDPとGPUの動作周波数は異なる。なおA4-1200については、設定を最低まで下げれば当時のPSO2が一応動作しなくもないスペックであった。
PS4, Xbox
あまり一般的ではなかったJaguarだが、PS4やXboxへの搭載という栄誉を獲得している。こちらはBobcat系最多の8コアを搭載し、強力なGPUと組み合わせた強力なAPUとなっている。
なおこれらゲーム機に搭載されたのはなぜかJaguarのみで、次世代Puma+が出てもJaguarが使われ続けた。後期にはPuma(28nm)を差し置いて28nm→16nmにシュリンクされるなど、地味にアップデートされていた。
サーバー
Opteron X1000, X2000番台としてサーバー向けKyotoも登場した。なお、サーバー向けAPUはこのKyotoとBulldozer系Torontoのみで、全部合わせてもそれぞれ3製品の合計6製品だけである。
Puma, Puma+
Jaguarの後継はこのPumaである。CPUがAVXに対応したことや、更に省電力化されたことが特徴だろう。
残念ながらこの世代は搭載製品も少なく、見かけることは少ない。
なおPumaの見分け方は(一部例外はあるものの)APUの6000番台かつ下二桁が10のものである。同様にPuma+は7000番台かつ下二桁が10である。
その後
Puma+を最後にBobcat系は姿を消した。ウルトラモバイル向けはBulldozer系のExcavatorがその役目を引き継いだ。
これは当時AMDがIntelに対してローエンド帯でしか対抗できず、高性能なBulldozer系マイクロアーキテクチャ、省電力なBobcat系マイクロアーキテクチャという役割分担が崩れ、省電力かつある程度の性能のマイクロアーキテクチャさえあればよくなったためと思われる。
性能比較表
マイクロアーキテクチャ | スコア | 年代 |
Bobcat | 12.44180523 | 2011~2013 |
Jaguar | 16.17434679 | 2013~2014 |
Puma(+) | 20.5 | 2014~2016 |
Atom(Bonnel) | 10.6 | 2008~2013 |
Atom(Silvermont) | 16 | 2013~2016 |
Atom(Goldmont) | 20 | 2016~ |
Core2 | 28 | ~2008 |
K10(PhenomⅡ) | 26 | ~2012 |
すんごい大雑把な比較であるが、だいたいこんな感じ。概ね同時期であればAtomより2~3割程度の優位性があったことになる。とはいえメインストリームのCPUとの性能差は歴然である。
コメント