月刊世界のホスティング2019年11月号【ホスティングサービスの作り方2】

ホスティングサービスの作り方 第2回

※この記事は「VPSのハイパーバイザー、GUIコントロールパネル一覧」という過去の記事と同様の内容も含むためリダイレクトされています。その部分だけ見たい人はこちらへ

先月に引き続き、ホスティングサービスの構築に関する情報をお届けしたい。

今月は自分で専用のサーバーを借り、その中でGUI管理画面などの環境を整えたり、課金システムを構築するツールを紹介する。ホスティングサービスを構築するつもりのない人でも、仮想化基盤の紹介や仮想マシンのGUI管理パネルの紹介などは参考になるだろう。

  • 共用サーバーサービスに必要な、各ユーザーのコンパネと管理者用アカウント管理画面を提供するツール
  • VPSサービスに必要な、各仮想マシン用のコンパネと仮想化基盤の管理、管理者用アカウント管理画面を提供するツール
  • VPSサービスにつかえる仮想化基盤一覧
  • 課金管理などを行うホスティングサービスプラットフォーム

の4つを紹介したい。

共用サーバーコンパネ編

まずはサーバー自体の管理と共用サーバーの各ユーザー用管理画面を提供するサーバーコントロールパネルを紹介したい。

cPanel

おそらく世界でもっとも有名なサーバー管理パネル。日本国内のレンタルサーバーサービスは独自の管理画面を自前で開発していることが多いが、cPanelは一般販売されている管理画面である。国内では使えるネット、Jetboy、Mixhostなどで使用例がある。

このほか、アカウント管理用WHMの管理画面が存在する。

cPanelは非常に多機能ですべて紹介しきれないが、

  • 上記の画像のような各ユーザーごとのサイト・ドメインなど管理画面
  • サーバー管理者用のサーバー管理画面(Apacheなどのインストールも可能)
  • WHMによるユーザーの作成
  • 複数サーバー間でのユーザー移動

などができる。

ライセンス料金はVPSにインストールする場合で年34,000円、物理サーバーの場合57,000円である。

Webmin・Virtualmin

できることはcPanelに近い。こちらは無料版もあり(GPLと有料版のデュアルライセンス)、気軽にインストール可能である。気になる人は実際に試してほしい。

大まかに言えば、Webminがサーバー全体の管理、VirtulaminがWebminのモジュールでありバーチャルホスト設定など各ユーザーのサイト、メールアドレス管理などをGUIで行える。

国内でもとある商用ホスティングサービスで使用例がある。

その他

その他多数のコントロールパネルが存在する。上記2つ以外ではPlesk, ISPConfigは比較的有名かと思われる。ただしISPConfigはインストールが非常に難しい。

https://www.hostingadvice.com/blog/cpanel-vs-plesk-vs-webpanel/

VPSコントロールパネル編

ホストマシンにインストールし、ゲストVMの作成や各VMのユーザーにOS再インストールなどができるコントロールパネルを提供するソフトウェアである。一部はマルチノードの集中管理機能も持つ。

SolusVM

海外の格安VPSサービスでは最もメジャーなVPSコントロールパネル。ホストマシンにインストールし、OpenVZの仮想マシンの作成をGUIで行うことができる。また、各ゲストOSのユーザーにVPSのOS再インストールなどができる管理パネルを提供する。

Slave Only Master LicenseはOpenVZ以外にも対応するがこれは単一のVMしか管理できないので、複数ゲストを管理する用途では実質OpenVZ専用。

virtualizor

https://www.virtualizor.com/

価格は上のSolusVMとほぼ同じ。しかしこちらはKVMなど多数の仮想化方式に対応している。

またPaypalなどと連携可能な課金管理パネル、複数ノードのクラスタリングにも対応しているなど非常に多機能である。

お手頃価格(年間ライセンス95ドル、買い切り版200ドル)なので、あなたのご家庭にも1ライセンスいかがだろうか。.

cloudmin

上記のwebminの姉妹コンパネである。機能的には上の2つと同様。こちらもGPLと有料版があるが、対応する仮想化方式が有料版はGPL版より多い。

その他

KVM用だけでも数え切れないほどの管理ツールが存在する。http://www.linux-kvm.org/page/Management_Tools

また、多数のノード、複数の仮想化方式、オンプレミスとAWSにまたがって管理できる超高機能ツールも存在する。https://www.nissho-ele.co.jp/product/nutanix/technology/prism.html

また、後述のホスティングサービス管理CMSのプラグインとしてVMをGUIで管理できるものも存在する。

仮想化基盤

VPSのホスティングサービスであれば、仮想化基盤は以下のような選択肢がある。

KVM

GPLの仮想化基盤。ホストOSはLinuxのみ。WindowsでもLinuxでもゲストにできる。ただし仮想化による性能のロスはコンテナ仮想化よりやや大きめである。

商用VPSサービス用としては国内外でよく使われ、ハイパーバイザー型の仮想化方式としては現在最もメジャーである。

virtuozzo/OpenVZ

コンテナ仮想化方式の仮想化基盤である。virtuozzoは有料版、OpenVZは無償版。OpenVZはコンテナ仮想化方式の商用VPSサービスではぶっちぎりのトップであるが、virtuozzoは殆ど見かけない。

ホストOSもゲストもLinuxのみ。仮想化による性能ロスは非常に小さいので、一台のサーバーに一杯仮想マシンを詰め込めるため、OpenVZのVMは一般的にKVMより安価である。

各VMのユーザーはカーネルを更新できない、コスト切り詰めるためにいろいろ無茶な設定すると、ホストのメモリ不足時にゲストのタスクが無差別にkillされる(実際はLinuxの仕様のせいでもある)という挙動をするため、嫌う人も多い。

LXC/LXD

OpenVZの競合的存在。商用VPSでは殆ど見かけない。Ubuntuを開発しているCanonical社がバックに付いている。機能的にはOpenVZより後発な分充実している。

LXDはLXCをバックエンドにしつつ、より高機能化したものである。

VMware ESXi

有料の仮想化基盤としてはメジャーな存在。

BSD Jail

BSD版LXCといった感じ。そもそもBSD系OSの使用例が少ないこともあって、商用での使用例は見かけない。

Xen

ハイパーバイザ型仮想化基盤で、商用での使用例は多く存在するが最近はKVMにかなり押され気味である。Hyper-Vと共通コンポーネントが多く使われており、一部互換性がある。

Hyper-V

Windowsのハイパーバイザ型仮想化基盤である。商用での使用例は殆ど見かけない。

余談ではあるが、Windowsもコンテナ仮想化が可能で、「Windows Serverコンテナ」というものが存在する。

ホスティングサービス管理プラットフォーム

サービス購入画面の提供、課金の管理、ユーザー管理、オートプロビジョニング(ユーザーの申込みがあると自動でVMやアカウントを作成する)を行うプラットフォームを紹介する。

VPSサービスの場合、以下のように互いに連携する。

各VMの作成など←(各仮想化基盤)←VPSコンパネ←ホスティングサービスプラットフォーム

WHMCS

おそらく世界で最もメジャーな管理プラットフォームである。有料無料含め数え切れないほどのプラグインが用意されている。

標準で連携できるコントロールパネルはこのページを参照。https://docs.whmcs.com/Server_Modules

この他、マーケットプレイスのプラグインで様々な管理ツールとの連携が可能である。

ただし、マルチバイト文字に対応しないという大きな欠点があり、日本国内では全く見かけない。

その他

WHMCS以外を見かけたことはほとんどないが、その他様々なプラットフォームが存在する。

https://www.hostingadvice.com/blog/whmcs-vs-blesta-vs-billmanager-vs-others/

おすすめの組み合わせ

海外で鉄板の組み合わせであるWHMCS+SolusVM+OpenVZは実績があり安心感がある。WHMCSとSolusVMは有料ではあるが、月2500円くらいから運用可能なので自宅に導入してみてはどうだろうか。闇鯖マスターPlatinum取得を目指すならばぜひおすすめしたい。

KVMも使いたいなら、WHMCS+Virtualizor+KVMといった構成が考えられる。

ホスティングサービスとしては使用できないが、自宅で複数のVMを作って遊ぶだけであれば、virt-manager+KVMが無料で使用できる。

その他多数の組み合わせがあるので、色々検討するとよいだろう。

第3回予告

12月号のホスティングサービスの作り方第3回では、第2回までで取り上げられなかったホスティングサービス関連ツールやホスティングサービスの始め方を紹介したい。

お誕生欄

Indigo

10/28にサービスを開始したNTT Web Arenaの新たなVPSサービス。従来のWeb ArenaのVPSサービス(以下旧サービス)はいまだ継続中であるが、旧サービスと比べると用意されているOSテンプレートが新しい、時間単位の課金であるなど上位互換的内容で、実質的に後継サービスである。(なお先日サービス終了がアナウンスされたcloudnの後継でもあるらしい。https://web.arena.ne.jp/support/cloudn_migration/

価格面では格安だった旧サービスよりさらに安くなり、時間課金となったことで、コストパフォーマンスではVultrやDigitalOceanを大きく上回り(ただし機能面では大きく劣る)、単純な価格比較でも海外格安VPSでまともなところと比較して全く遜色ない。あえて欠点を言えば、一番上位プランでメモリ8GB、6vCPUしかないという点だろうか(クラウドサービスとしては少なめ)。

まだ安定性などは未知数だが、多機能を求めないのであれば「もう全部こいつでいいんじゃないかなあ」と言いたくなる素晴らしいサービスである。

wpX Cloud

wpXがリニューアルされ、名前がwpX Cloudとなった。名前などから、おそらくLiteSpeed+SSD+CloudLinux環境に変わったと考えられる。サービスの方向性や料金としてはConoha Wingに近い。